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無料でもできる情報セキュリティ対策

 情報セキュリティが重要なことはもはや言うまでもない。情報セキュリティとは一般に、機密性(Confidentiality)、完全性(Integrity)、可用性(Availability)の3つが確保されることを言う(3つあわせてCIA)。機密性とは、許可された人以外には秘密にすること、完全性とは、情報の正確さを保つこと、可用性とは、許可された人が正しく使おうとしたときにいつでも使えること、である。例えば、情報漏えいや不正アクセスは機密性に問題があり、データの改ざんなどは完全性に問題があり、パソコンの故障で保存したデータが消えたという場合は可用性に問題がある。
 情報セキュリティには、企業などの組織レベルで行われるものもあるが、皆さんも個人として対策をとっておくことが必要である。以下では、対策として、ウイルス対策、ファイアウォール、スパイウェア対策、暗号化、バックアップについて紹介する※。
※以下、紹介するソフト(特に無料ソフト)は自己責任でご利用下さい。動作が不安定になったらアンインストールする等各自対処して下さい。

1)ウイルス対策
 情報セキュリティ上の問題を生じさせるような、悪意に基づいて作られたプログラム(あるいはソフトウェア)のことをウイルスと言う。パソコンに侵入して、動作不能にしたり、ひそかに潜伏して情報を盗んだり、漏洩させたりもする。また、パソコンの内部で自己増殖し、パソコンからパソコンへと感染する。
 ウイルス対策は、もはや一般的になったワクチンソフトの利用である。ウイルスの侵入を検知したり、ウイルスの活動を防いだり、ウイルスを除去したりする。ワクチンソフトは、あらかじめ用意されたウイルス情報のパターンファイルと、ウイルスが侵入している可能性のあるファイルを比較して、ウイルスを検知する。ウイルスは日々新しいものが生み出されているため、ワクチンソフトのパターンファイルも常に最新のものにしておく必要がある。
 ワクチンソフトは、パソコンを買うと有料のワクチンソフトのお試し版がプレインストールされている場合もあるが、有効期限が切れると使えなくなったり、パターンファイルを更新できなくなったりする。有効期限は切れたが、お金を払うのが面倒だったり、よくわからなかったり、お金がなかったりといった理由で、古いパターンファイルのまま放置している人も少なくないと思われるが、情報セキュリティ上、問題がある。そこで、無料のウイルス対策ソフトやサービスの利用を紹介する。

AVG Anti-Virus Free Edition
 営利目的で使用しない個人利用者のみ使用可能。日本語対応。十分な機能を持ち、軽く動作する。
Avast Anti Virus
 営利目的で使用しない個人利用者のみ使用可能。日本語対応。やや重い。解説ページも複数ある。60日を過ぎるとユーザー登録を求められるが名前とメールアドレス程度の登録で継続利用できる(特に利用制限はない)。
Windows Live ウイルス検索・駆除サービス
 自分のパソコンが大丈夫かを確かめたり、ウイルスを駆除するために使える。ただ、パソコンに常駐して、ウイルスの侵入を常に監視・防止するツールではないことに注意。あくまでも補助的なツールとして。あるいは、人に借りたパソコンを事前にチェックする場合などに使う。
Trend Micro オンラインスキャン
 自分のパソコンが大丈夫かを確かめるのに使える。ただ、パソコンに常駐して、ウイルスの侵入を監視・防止するツールではない上、ウイルスを検知するだけで除去はしてくれないので注意。

2)ファイアウォール
 ネットワークにつながれたパソコンには、ネットワークを介してパソコンの情報をやり取りするための、いわば「出入口」がある。例えば、皆さんが桜美林大学のウェブサイトをブラウザで見る場合、http://www.obirin.ac.jp/というインターネット上のコンピュータにアクセスし、80番という出入口から、index.htmlというファイルの情報を得ている。左記のURLを省略しないで書くと、http://www.obirin.ac.jp:80/index.htmlとなる。この出入口は、Portと呼ばれるが、0番から65535番まであり、使っていない出入口がほとんどである。このような出入口は、当然、開けっ放しにしておくと、不正に侵入されたり、情報を盗まれたり、情報が改ざんされたりする危険がある。
 また、ウェブサイトやメールを利用するための必要な出入口を使って、こっそり情報が盗まれるようなこともありうる。インストールされたソフトウェア(プログラム)が、パソコンの設定情報などを収集してそのソフトウェア・メーカーに送るような場合もある。
 そこで、こうした不正なアクセスや、意図しない情報の送信を防止するのがファイアウォール(firewall)である。直訳すれば防火壁だが、その機能は、不要な出入口は閉じると同時に、必要な出入口であっても不要な情報のやり取りは行えないようにする、というものである。
 ファイアウォールについては、Windows XPのバージョンから標準で実装されるようになり、それを使えば一応は問題ない。ただ、細かい設定をするには、やや機能が弱い。そこで、ここでもやはり、無料のソフトを紹介する。

Zone Alarm
 やや重いが、初心者でも使い易く、十分な機能を具えたファイアウォール。日本語対応。
Kerio Fire Wall
 高機能で軽いファイアウォール。サポート終了。

3)スパイウェア対策
 ウェブサイトの閲覧履歴などから個人の嗜好や趣味、個人情報などをインターネットを通じて外部にひそかに送信するソフトウェア(プログラム)のことをスパイウェアという。あるいは、広告表示によって無料で使えるソフトウェアや、ブラウザの標準的な機能などを利用したものもこれに含まれる。ウイルスと似ており明確な区別は難しいが、ウイルスは悪意のある機能と、自己増殖する機能を持つのに対し、スパイウェアは、情報収集のみを目的とする点で異なるとされる。そのため、無料で使えるソフトウェアの中には、利用規約で「情報収集されることに同意すれば無料で使えます」という注意が促される場合もある。最近のワクチンソフトやファイアウォールソフトには、無料のスパイウェア対策ソフトを紹介する。

Spybot Search & Destroy
 スパイウェアの侵入検知から検索、除去まで十分な機能を具える。日本語対応。
AD-Aware
 スパイウェアの侵入検知から検索、除去まで十分な機能を具える。日本語対応。

4)暗号化
 これらの対策をしたとして、もう一つの問題は、パソコンに物理的にアクセスされた場合があることである。自宅のパソコンは良いとしても、例えば、USBメモリを忘れたり落としたりすることは十分にありうる。そこで重要となるのが暗号化である。これについてもいろいろなツールがあるが、最も簡単な方法は、Word、Excel、PowerPointなどのオフィスソフトは、メニューの[ツール]-[オプション]-[セキュリティ]で、読み取りパスワードを設定しておくことである。必要があれば、書き込みパスワードもあっても良い。これを設定しておけば、USBメモリにコピーしても、メールで送受信しても、ファイルを開く際にパスワードの入力が求められるため、セキュリティは格段に向上する。
 他にも無料の暗号化ソフトや、圧縮ファイルなどがあるので探してみても良い。

5)バックアップ
 ウイルスによる改ざんや破壊を防止し、暗号化していても、パソコンがクラッシュしてしまった、USBメモリにアクセスできなくなった、間違ってファイルを消してしまったといった理由でファイルにアクセスできなくなることがある。特に、完成間近の卒論やレポートが消えてしまった、など最悪の事態である。また、スケジュールや連絡帳をパソコンで管理している場合も、これが消えてしまうと大変なことである。もちろん、大切なデジカメ写真やメールが消えることも損失は大きい。こういった様々な事態に備えるのが、バックアップである。バックアップしておけば、いざというときに最悪の事態を防げる。
 バックアップする方法だが、まず、どこにバックアップするか?当然、パソコンのファイルを同じパソコン内に保存したり、USBメモリのファイルを同じUSBメモリ内にコピーしておいても意味がないことは明らかである。パソコンの場合は、そのパソコン以外に、USBメモリの場合は、そのUSBメモリ以外のメモリ(記憶装置)に保存しておく必要がある。
 安くて簡単にできるのは、バックアップ用に、USBメモリやSDカード、SDHCカードメモリを購入して使うことである。SD・SDHCカードや、小型のUSBメモリの場合は、挿しっぱなしにしても使える。最近、こうしたメディアが大容量化&低価格化しており、価格COMなどで見ると、容量8GBのUSBメモリが2000円前後で購入できる(2009年5月現在)。卒論やレポート、連絡帳などテキストデータならこれで十分。画像や動画、音楽などのファイルが多数ある場合はこれでは足りないこともあるため、外付けのハードディスク等を検討する。最近は、容量1TB(=1000GB)で1万円を切る価格で売られている。
 重要なファイルは、定期的にバックアップしておくことが肝要である。手作業で重要なファイルだけをコピーしても良いが、忘れることもあるため、バックアップ支援のソフトを使うことをすすめる。「毎日22時」など指定時間に、指定されたフォルダやファイルをコピーしてくれるソフトもある。また、メールなどは、メールのファイルをバックアップしても良いが、Gmailを使うことも便利である。大学のメール、個人的に使っているメール、携帯メールなど、すべて各メールサーバーにメールを残しつつGmailに転送設定しておけばバックアップしていることになる。
Gmailは、容量が数GBもあるため、通常の使い方をしている限り、保存容量がいっぱいになることはほぼない。

以上

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